【2027年に向けて要確認】取引先から選ばれ続ける会社になるために。中小企業が今、考えたいサイバー攻撃対策とサイバー保険

「うちは小さい会社だから大丈夫」そう思っていませんか?


「サイバー攻撃の対策は、大企業がやるもの」
「うちは顧客情報もそれほど多くないから大丈夫」
「ホームページは制作会社に任せているから問題ない」

このように考えている経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、サイバー攻撃による被害は、企業の規模だけで決まるものではありません。

例えば、取引先から預かった情報が漏えいしたり、受注システムが停止したりすれば、会社の信用や売上に影響が出る可能性があります。

さらに、被害を受けた企業だけでなく、その取引先にも影響が広がることがあります。

サイバーセキュリティは、もはやIT担当者だけの問題ではありません。会社の信用と事業継続を守るための経営課題です。

今回は、2026年10月に公表されたPHPの重大な脆弱性と、2027年の運用開始を目指す「SCS評価制度」を取り上げ、中小企業が今から考えておきたい対策をご紹介します。

1.2026年10月、PHPに重大な脆弱性が公表

2026年10月21日、WebサイトやWebシステムで広く利用されているプログラミング言語「PHP」に、2件の重大な脆弱性が公表されました。

JPCERT/CCは翌22日に注意喚起を行い、影響を受ける環境では、修正プログラムの適用や侵害の有無の調査を速やかに実施するよう呼びかけています。

今回の脆弱性が悪用された場合、攻撃者が認証を経ずにサーバー上で任意のコードを実行できる可能性があります。

PHPは、企業のホームページやECサイト、業務システムなどの裏側で利用されている技術です。自社でPHPを管理していなくても、Web制作会社やサーバー事業者を通じて利用している可能性があります。

では、もし自社のシステムが攻撃を受けたら、どうなるでしょうか。

* ホームページの改ざんや停止
* 顧客情報や取引先情報の漏えい
* 業務システムの停止による受注・営業活動への影響
* 原因調査やシステム復旧にかかる費用
* 顧客への説明や問い合わせ対応
* 損害賠償や信用低下による経営への影響

こうした被害は、企業にとって決して無視できるものではありません。

今回のニュースをきっかけに、自社のシステム管理体制を一度確認してみてはいかがでしょうか。

2.2027年、企業間取引にも関係する「SCS評価制度」

もう一つ、経営者の方に知っておいていただきたいのが「SCS評価制度」です。

正式名称は「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度」。経済産業省などが制度構築を進めている、企業のセキュリティ対策状況を可視化するための仕組みです。

経済産業省の公表資料では、★3・★4の運用開始について、2026年度末頃、つまり2027年1月〜3月頃を目指すとされています。今後、制度の詳細やスケジュールが更新される可能性もあります。

この制度が注目される理由は、サイバーセキュリティが自社だけの問題ではなく、取引先を含むサプライチェーン全体の問題として捉えられていることです。

例えば、次のようなケースを考えてみてください。

ケース①:大手企業と取引している製造業

取引先から、情報管理やセキュリティ対策について確認を求められる可能性があります。自社の対策状況を説明できる体制が重要になります。

ケース②:顧客情報を扱うサービス業

顧客情報を管理するシステムの安全性や、情報漏えいが発生した場合の対応体制が問われる可能性があります。

ケース③:システム開発や業務委託を受ける企業

委託元から求められるセキュリティ水準を把握し、必要な対策を実施することが、取引を継続するうえで重要になると考えられます。

ただし、SCS評価制度はすべての企業に一律で取得が義務付けられる制度ではありません。実際に求められる評価段階は、取引先との契約や業務内容などによって異なります。

大切なのは、制度が始まってから慌てるのではなく、今のうちに自社の状況を把握しておくことです。

3.経営者が今から確認したい3つのポイント

「何から始めればいいのか分からない」という場合は、まず次の3つを確認してみましょう。

① 自社のホームページやシステムは安全に管理されているか

ホームページを外部の制作会社に任せている場合でも、管理状況を把握しておくことが重要です。

* ソフトウェアの更新は適切に行われているか
* サーバーやCMSの管理者は誰か
* 脆弱性が公表された際、誰が影響を確認するのか
* バックアップや復旧の手順は整っているか

今回のPHPの脆弱性についても、まずはWeb制作会社やサーバー管理会社に、自社のサイトが影響を受けるか確認することが第一歩です。

② サイバー攻撃が起きたとき、業務を継続できるか

システムが停止すると、受注や顧客対応ができなくなることがあります。

「何日間、業務が止まると経営に影響するのか」「復旧にはどの程度の費用がかかるのか」を考えておくことも重要です。

バックアップの取得だけでなく、実際に復旧できるか、緊急時の連絡先が決まっているかも確認しましょう。

③ 事故が起きた場合の費用負担に備えているか

サイバー攻撃の被害では、システムの復旧費用だけでなく、原因調査、顧客対応、専門家への相談など、さまざまな費用が発生する可能性があります。

こうした費用を自社の資金だけで負担することになった場合、会社の経営にどの程度の影響が出るでしょうか。

ここで検討したいのが、サイバー保険です。

4.サイバー保険は、会社の「万が一の出費」に備える選択肢

サイバー保険は、サイバー攻撃や情報漏えいなどによって発生する損害に備えるための保険です。

契約内容によって異なりますが、例えば次のような費用や損害が補償対象となる場合があります。

想定される事態 補償対象となる場合があるもの
不正アクセスが発生 原因調査や被害範囲の特定にかかる費用
顧客情報が漏えい 顧客への通知、問い合わせ対応などの費用
システムが停止 データやシステムの復旧費用
顧客や取引先に損害が発生 法律上の損害賠償や弁護士費用
営業活動に影響が発生 契約条件に応じた事業中断による損害

例えば、顧客情報を管理するシステムが攻撃を受けた場合、原因調査や復旧に加え、顧客への説明や問い合わせ対応が必要になる可能性があります。

こうした事故後の費用負担に備えることは、経営上のリスク管理の一つです。

ただし、サイバー保険に加入すれば、すべての損害が補償されるわけではありません。補償対象、支払限度額、免責金額、対象外となる事故などは契約によって異なります。

また、SCS評価制度の取得とサイバー保険への加入は別のものです。保険加入だけで評価要件を満たせるわけではなく、セキュリティ対策そのものを進めることが重要です。

5.「対策しているから大丈夫」ではなく、被害が起きた場合まで考える

サイバー攻撃への備えでは、攻撃を防ぐための対策と、被害が発生した場合の備えを分けて考える必要があります。

ソフトウェアの更新、アクセス管理、従業員教育、バックアップなどは、事故の発生や被害拡大を防ぐために重要です。

一方、万が一事故が発生した場合に、原因調査や復旧、顧客対応などの費用をどのように負担するかも考えておかなければなりません。

2027年のSCS評価制度の運用開始を見据え、取引先からの信頼を守るためにも、自社の対策状況を確認してみてはいかがでしょうか。

会社を守るために必要なのは、攻撃を防ぐ対策だけではありません。被害が起きた場合にも、事業を継続できる準備をしておくことです。

まとめ:自社のセキュリティ対策とサイバー保険を見直してみませんか?

PHPの重大な脆弱性やSCS評価制度の動きは、中小企業にとっても、サイバーセキュリティを見直すきっかけになります。

今からできることは、決して特別なことばかりではありません。

* 自社のホームページやシステムの管理状況を確認する
* ソフトウェアの更新やバックアップを徹底する
* 取引先から求められるセキュリティ水準を把握する
* 事故発生時の対応体制を整える
* サイバー保険の補償内容を確認する

サイバー攻撃は、いつ、どの企業に発生するか分かりません。だからこそ、被害が発生してから考えるのではなく、平時から備えておくことが大切です。

「自社にどのような対策が必要なのか分からない」「サイバー保険でどこまで備えられるのか知りたい」といったお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。

事業内容や取引状況に合わせて、万が一のリスクにどのように備えるか、一緒に考えていきましょう。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。SCS評価制度の開始時期や評価基準は、経済産業省およびIPAの最新の公表資料をご確認ください。サイバー保険の補償内容や保険金の支払条件は、商品や契約によって異なります。